災害時の口腔ケアの続きです
こんにちは、五位堂いのうえ歯科クリニックです。
さて、前回の記事の続きで、災害時の口腔ケアQ&Aを更新したいと思います。
とても大切な事ですので、是非お読みください。
Q4. うがいする水が不足している場合は?
チューブ入りの歯みがき剤で研磨剤を含むものは吸湿作用が強く、口の中に残ると乾燥を助長するため、うがいをしにくい状況では使わないようにします。
歯ブラシを少量の水で濡らすだけ磨きますが、液体ハミガキ(デンタルリンス)や洗口液が入手可能なら水だけよりも歯垢の除去に効果的です。
うがいは、口の中の汚れを水の勢いで浮き上がらせ、薄めて、吐き出す行為です。
一度に多くの水を含んで吐き出すよりも、「少量ずつ口に含んでは吐き出す」を繰り返す方が効果的です。
具体的には、1回に30mL の水でうがいするよりも、2回に分けて、15mLの水で2回うがいする方が、薄める効果が強くなり効果的です。
なお、うがいにはクチュクチュあるはブクブクと主に口の中をきれいにする「洗口」と、喉に対する「ガラガラうがい」があります。喉に水を溜めにくい方に「ガラガラうがい」は危険な場合があります。
Q5. 歯ブラシを入手できない場合は?
歯ブラシを入手できなければ、タオルやティッシュペーパーなどで歯の表面を擦って、できる限り歯垢を除去するようにしてください。
液体ハミガキ(デンタルリンス)や洗口液を併用すると歯垢を除去しやすくなります。洗口(クチュクチュあるはブクブク)だけでは、歯垢を除去できません。
Q6.うがい薬の代用品は?
消毒効果を有するうがい薬としてイソジンガーグルが有名ですが、歯みがき時に使う液体ハミガキや洗口液などにも消毒成分を含む製品があります。
アルコールを含む製品が多いので、刺激を感じるようでしたら、薄めて使用してください。
医療現場にあるものの中で、ポビドンヨード(イソジンなど)、オキシドール、アクリノール、塩化ベンザルコニウム(オスバンなど)は口腔粘膜にも使用可能です。
いずれも使用濃度を確認してください(オキシドールは最終濃度0.3~1.5%、塩化ベンザルコニウムは最終濃度0.025%以下など)。
なお、手指消毒用の製品には消毒効果がありますが、アルコールや洗浄成分を含むため、口腔への使用はできないものが多いでしょう。
Q7.重曹水は洗口液の代用になる?
リステリンやモンダミンに代表される洗口液(マウスウォッシュ)で洗口すると、爽快感が得られ、口臭を抑える効果があるとされます。
ただし、口臭の原因であることが多い歯垢への直接効果は限定的で、歯みがきを併用する必要があります。
口のネバネバ感に対しては、味は良くありませんが、重曹による洗口が有効です。
重曹を水に溶かすと弱アルカリ性になり、洗口液として使用することができます。濃度は100mL の水に2g(2%)が目安です。舌苔が厚くなった時や液体ハミガキの代用としても有効です。
Q8.要介護者にも口腔ケアの注意点は?
自分だけでは食べること、口腔ケアに不自由な介護を要する方には、周囲の方が食べることだけでなく、その後の口腔ケアも手伝ってあげる必要があります。
むしろ、必ず口腔ケアが必要な方々です。
うがいができるか、できないかで、方法・難しさが異なります。
いずれにしても、ポイントは口の中の汚れを飲み込ませないように吐き出してもらう、あるいは回収することです。
【洗口ができる要介護者の場合】
洗口した水を飲み込ませないように吐き出してもらうための工夫として、顔を横に向けてもらって(もし左麻痺がある場合は、右を向かせる)、喉の方へ流れ込みにくいよう配慮
します。
【洗口ができない要介護者の場合】
歯ブラシなどにつける水は必要最小限とし、顔を横に向け、下になった側の頬粘膜に濡れティッシュなどを置きます。
口の中の汚れを、歯ブラシやスポンジに絡め取るとともに、飛散した汚れを濡れティッシュとともに回収します。
いかがでしょうか?
災害時、口腔ケアについて不明な事がありましたら、当院のブログを思い出して頂いて、こちらの記事にアクセスして、もっと詳しくみる場合は、http://www.oralcare-jp.org/saigaiji/
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五位堂いのうえ歯科クリニック
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